ダイビングは、事前準備でいくらでもリスクを低くして楽しむことが出来るスポーツです。
一方で、いくら事前準備しても、不測の事態というのは往々にして起こり得ます。
今回、その不測の事態の中でも、ダイビングをやり始めて遭遇するとパニックに・・・というと派手ですが、テンパりやすいケースをまとめてみました。経験則ではありますが、それに対する対策・考え方も合わせて書いているので、どうぞご覧ください。
エア系でテンパる
ダイビングをすることにおいて一番心配になるのは、やはり空気、呼吸のことです。
そのため、その関係で何かトラブルが起これば、それがどんなに小さくてもテンパりやすいものなのは間違いありません。
なのでまずはその空気、呼吸関係でテンパりやすいケースについて挙げていこうと思います。
海に入ってみたら、エアが通ってなくてテンパる
ちょいちょいあるケースです。
僕も一緒に潜っている人がそのようなケースに陥ったことを何回か見かけています。
さぁ潜るぞ!って海に飛び込んだら、あれ、空気が吸えない・・・!ってなってテンパってしまうパターンです。
原因:エアタンクを閉めてしまうから
このケースに関する原因ですが、ほとんどの場合はエアタンクの開け忘れです。
正確に言えば、一度開けたエアタンクを、潜る前に閉めてしまう、というのが大体の原因になってきます(準備時点で完全に開け忘れる、というケースもありますが・・・)。
ダイビングで器材の準備をする際、エアタンクとレギュレータをつないだ後に、エアタンクの空気量や、問題なく空気がレギュレータに入ってくるかを確認するため、一度エアタンクが開ける過程があります。で、実際に潜る直前になるまで、変に空気が減るのを防ぐために閉じておきます。
で・・・・潜る直前になって開け直す、のを忘れる、というのがこのケースの大体の流れです。
対策①:事前に周りに確認してもらう
このケースの対策・・・となると、もちろんエアをちゃんと開けておくことです。
ただ忘れてしまうことは往々にしてあり得る話ではあるので、海に入る前に自分・または周りにしっかり確認してもらうようにしましょう。
具体的には海に入る前にレギュレータをくわえて、空気が入ってくるかどうかを確認すること。または周りにいる人(特にインストラクターさんがベター)に、ちゃんとエアがちゃんと開いてるかどうかを確認してもらうこと。この2つの対策で、このケースを未然に防ぐことが可能です。
対策②:海に入った後に、すぐ沈まずにエアの確認をする
仮に対策①を怠って海に入っても、やれることはあります。
まず、すぐ沈もうとしないこと(意外に大事)。集団で潜ってて順番で海に入った時とか、後から入ってくる人のことを考えて慌てて沈もうとしがちですが、決して慌てず、まず海面に浮きながら準備が整っているか確認しましょう。
で、その際にレギュレータをくわえ、数回呼吸してみましょう。その時に空気が入ってこなかったり、何か詰まったような感覚があったら、それはエアタンクが開いていないか、開きがイマイチなことを示しています。
その場合はこれから海に入る人か、まだ海上にいる人にそのことをアピール(大声で呼びかけたり、手でエアタンクを示したり、など)して、海面に浮いたままでいましょう。そのまま待ち、他の人に後ろに回ってもらってエアタンクを開けてもらうようにしましょう。
空気が足りない感じがしてテンパる
海に入った後は、いつもとは違う呼吸のやり方になります。当然ではありますが・・・いつもは鼻からでも口からでも空気を吸って呼吸できるものが、口からのみでしか呼吸できなくなる訳ですしね。
この時、いつもと空気の吸い方が違うせいで、どことなく違和感が現れます。
その違和感が、必要な空気が吸えていないような焦りに変わり、それがテンパりにつながってくる場合があります。
足りないことはまずありません。落ち着こう
まず必要な空気が吸えていない、ということはありません。そんなことがあれば、ダイバーを生かすためのエアタンクなんて成り立っていないも同然です。
あくまで、いつもと呼吸法が違うだけです。空気を吸えている口が少ないので空気が少なく感じているだけで、結局呼吸はできています。
それ意識して、いつもの呼吸からの違和感に徐々に慣れていくことが肝心です。
明らかに苦しく感じる場合は、その場でダイビングをストップする
いつもの呼吸からの違和感からくるテンパりではありますが、それでも本当に苦しく感じる場合があります。
その時は、その場でダイビングをストップしましょう。
すぐに付いてくれてるインストラクターさんに苦しいこと、すぐ上に上がりたいことをハンドシグナルで伝えて、付き添ってもらう形で浮上しましょう。
マスクに水が入ってきてテンパる
前述の空気系に続き、あるあるなケースです。
海に入った直後、あるいは潜ってる間徐々に、マスクの中に水が入ってくることがあります。
それはつまり視界が水で塞がれてくるわけであって、これもテンパりを誘発しかねない事象です。
対策①:マスクがしっかりハマっているか海上で確認する
マスクに水が入ってくるのは、そもそもマスクがしっかり装着されてないことが原因で発生している事象です。なので、マスクがしっかりハマっているかどうかを事前に確認しましょう(出来れば、インストラクターさんに外から見てもらうのがベターです)。
チェックすべき箇所は2つ。
- マスクの中に髪が入ってないかどうか
- ストラップの位置(耳のすぐ上ではなく、後頭部辺りに付けておくとハマりやすいです)
この2つの事項を、潜る前にチェックしておきましょう。
対策②:落ち着いて、マスククリア
対策①のチェックを行った上でも、マスクに水が入ってくる場合もあります。
ひとまず、落ち着きましょう。視界が多少防がれても、生命を脅かすような状況ではありません。
落ち着いた上で、ゆっくりとマスククリアを行なっていきます。オープンウォーターの講習でも行う重要スキルの1つですが、マスクの下の方をゆっくり持ち上げ、海面の方へ顔を向け、鼻から息をスーーーッと吐きます。
この一連の動作で、ひとまずマスクから水は抜けるはずです。とりあえず潜ってる間はこのマスククリアを適度に繰り返してマスクの完全浸水を防ぎます。で、海上に戻った後はその事象を周りに相談し、マスクの状態が悪くないかどうかを確認しましょう。場合によっては予備や他の人のと交換してもらうのもアリかと思います。
耳が抜けなくてテンパる
マスククリアと同様に、耳抜きも重要なスキルの1つです。
海中で潜れば潜るほど水圧が高くなり、気圧差が生じて耳が痛くなります。その気圧差を無くすため、鼻をつまみ、息を吐き出すように空気を耳に送ることで気圧差を整えるのが耳抜きです。
で、この耳抜きが上手くできないまま沈んでしまい、耳が痛くなってテンパる・・・・というのもあり得るケースです。
対策①:健康状態、大丈夫?
耳抜きが上手くできない原因の1つに、そもそもの健康状態が関係してくることがあります。
この記事でも書きましたが、風邪などが原因で鼻づまりが起こってたり、副鼻腔炎・中耳炎になってる場合は耳抜きが上手く出来ない可能性大です。
もしその健康状態に自信がない場合は、潔くその日のダイビングを諦めるのが賢明です。
対策②:下手にすぐ沈まず、痛くないうちにやってしまう
耳抜きに関してありがちなのが、痛くなった時に慌てて耳抜きをするパターンです。
それで抜けるのであれば問題ありませんが、痛いということは既に大きな気圧差が発生してしまっていることを意味するので、痛くないうち、出来れば海に入った直後から重点的に耳抜きをやってしまうのがベターです。
早いうちから耳抜きをしてしまうことで痛みも発生しにくくなり、気圧差による違和感・痛みによる嫌悪感もより和らげることが出来ます。
浮上しちゃってテンパる
浮き上がってしまうケースです。
沈んでいたい時に限ってひとり浮いてしまい、皆の視界から外れてしまうのではと、テンパってしまうパターンです。
対策①:BCから空気が抜けているか確認する
1人だけ浮いてしまう場合、案外BCから空気が余計に残っている場合があります。
浮いてしまっている段階でも慌てずにBCを操作し、空気を抜いて行きましょう。
対策②:息吐いて!
意外にあるパターンがこれ。
特に女性にありがちですが、空気を吸ったままになってしまっており、そのままふわーっと浮いてしまう場合です。
小さな生き物にゆっくり近づこうとしたり、マンタなど繊細な生き物を観察するときに、息を潜めようとしすぎて吸ったままになってしまったりします。
なので、落ち着いて、息を吐く!身体の中の浮き袋を弱めましょう。
対策③:潔くあきらめる
以前冬のダイビングで、ドライスーツを着てダイビングをしていた時です。
終盤に入った段階で、少し前かがみの姿勢になったら、足の方からふわーっと浮いてしまいました。どうやらドライスーツの中に残ってた空気が足の方に集中し、自分と軽くなったエアタンクを持ってきてしまった、と言う感じでした。
もうもはや万事休す、と言う感じだったので諦めてそのまま上がりました。
この様に、もはや終盤でだいぶ身軽になっている段階でふわーっと浮いてしまう様であれば、もはや諦めてしまいましょう(ただし、安全停止中はちゃんと安全停止していてください)。
レギュレーターがすっぽ抜けてテンパる
集団で潜っていると、他の人のフィンや腕などで、たまにレギュレーターが口からすぽーーーんって抜けることがあります。僕も数回ほど既に体験済みです。
単純に息をするために必要なレギュレーターが口元からすぽーーんって抜けてしまうので、確かに慌てる気持ちもわかります。が、ここもまず落ち着くことが肝心です。
対策①:口を閉じて、ゆっくりレギュレーターを戻す
レギュレーターが口元から抜けたからって、その瞬間に窒息する訳ではありません。
「抜けた!」って思ったら、まず海水を飲まない様に口は閉じておきましょう。そして、飛んで行ったレギュレーターをゆーっくり口元に戻してきてあげます。
この時の戻し方に少しコツがありますが(オープンウォーター講習で学べます)、基本的には体の右側でうようよしているはずなので、落ち着いて右手・右腕で探せば、すぐ見つかります。
対策②:他の人と距離を取る!
これはそもそもこういった状況を起こさないための対策です。
つまり、人にぶつかってしまうくらい人との距離が近いことが問題なのです。なので、常に適度に距離を保つよう、注意を払っておきましょう。
「さっきまで距離あったのに、もうこんなに近い!」ということは、マスクの範囲でしか視界が無いので往々にしてあり得ます。常に周りをぐるぐる見渡し、他の人との距離が十分取れているかを確認してください。
まとめ。まず、落ち着け。
以上5つが、僕なりに思う「ダイビング初期でテンパりやすい5つのケース」と、それに対する対策法です。
が、対策法より何より、一番大事なのはそのケースが発生した時はとにもかくにもまずは落ち着け、ということです。
これらのトラブルは、いきなりダイバーを危険にさらすような類ではありません。なのでまずは落ち着いて状況を整理し、然るべき対策法を取っていきましょう。
ではでは。
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