先日、ダイビングで過去10年どのくらいの事故が発生してきたのか、という記事を書いたのですが、そのタイミングでこんな告知がFacebookを通して回ってきました。
「ここが変だよ!?ダイビングのあれこれ」を考える会が開催されます。
タイムリーでもあったのでせっかくだし行ってみようと思い、参加してきました。
基本的にはインストラクター・ガイドさん向けの内容ではあったものの、素人ダイバー的に考えされることもあったのでその感想や所感について書いていきたいと思います。
そもそもオーシャナとは?
オーシャナとは、「海とダイビングの総合サイト」です。
https://oceana.ne.jp/
これがトップ画面です。
いやー、きれいなサイトですね。
これと比べたら、うちのサイトの貧弱さと来たら泣けてきます(笑)
各地のダイビングポイントの取材記事や、ダイビングの豆知識、これからダイビングを始める人に向けた連載やスキルアップに向けた記事など、とにかく海とダイビングに関するあらゆるコンテンツが掲載されています。
ダイビング界隈では非常~~によく知られたメディアサイトでして、このサイトに取材されたりすることも、ダイビングショップやインストラクターにとって一種のステータスとして捉えている様な印象を受けます。
今回のセッションの概要
そんなオーシャナさんが独自の情報量を活かして行われる今回のセッション。
普段なら聞くことのないような情報・個人的にビックリするような情報がたくさんあったので、ピックアップして紹介して行こうと思います。
事故のケースなどをまとめているNPO法人がいる
後述しますが、「安全なダイビング」をテーマにこれまで各地で起こっている事故をまとめたり、安全に関する提言などの活動を行っている「Project Save Dive」という非営利活動法人(NPO法人)がいます。
会場では参加者全員がこの団体の存在について知っている体だったのですが、恐らく唯一というレベルで、僕だけ知りませんでした・・・設立の経緯や活動内容について、重要な点がいくつかあったので後述しようと思います。
ダイビング事故訴訟をかなり多数取り扱ってる弁護士がいらっしゃる
言葉にすると「何言ってるんだお前」という感じなのですが、正直に初耳であったので。
ダイビング事故訴訟をかなり多く取り扱い、恐らく日本で一番この類の訴訟に詳しい弁護士がいらっしゃる、とのことでした。
このサイトに紹介記事が載ってますね。
https://jcue.net/about/legaladvisor/
上野園美
近年、日本で最も多いと言ってよいほどダイビング事故訴訟を多く担当している弁護士。
ご自身もダイバーで、より現実を知る立場から、ダイビングを知らない裁判官へ伝えるためにプロダイバー側から出来ることの問題提起を続けている。経歴
青山学院大学経済学部経済学科卒業
平成7年10月 公認会計士2次試験合格
平成12年10月 司法修習終了(53 期)
平成17年 シリウス総合法律事務所準パートナー
平成18年12月 公認会計士登録
元ダイバーな弁護士の方なんですね。
「NPO法人 JCUE(日本安全潜水教育協会) 海辺の安全と環境教育」の顧問弁護士ということで、ダイビングに関する提言を裁判や世の中に積極的に行っている印象を受けます。
訴訟に至った事故事例の中に、少しぶっ飛んでいるものがあった
講習では2つほどケーススタディが入りました。
1つ目はまぁ起こりうるかな、と理解できるものの、2つ目がなかなかえげつなかったです。
- オープンウォーター講習中、受講生のうち1名が急浮上してしまい、インストラクターがそれを追いかけている間、もう1名の受講生が行方不明になってしまった。その後少しはなれたところで心配停止状態で発見。
- 某大学のダイビングサークルでオープンウォーター講習をやる際、インストラクターが1人ずつ入水させようとしたところ、上級生が「盛り上がるから」と理由で6,7人で一斉飛び込みを提案し、インストラクターが了承。いざ実践したところ、そのうち数名にエアが入ってなかったことで混乱、全員がおぼれてしまい、1人がなくなる。
いやぁ・・・了承したインストラクターもインストラクターですが、某大学の学生さん、どうなのよ・・・・って思ってしまいます。正直自分から命投げ打ってるようにも見えて、素人ダイバーながら非常に残念なところがあります。
裁判では、ガイドは注意義務・管理義務がある前提。
ダイビング事故で法廷で争われる際、ガイドさんに注意義務・管理義務があったのか、という点で争われることはないそうです。むしろ、どこまでの範囲での注意義務・管理義務があったのか、といった点が争われます。
その範囲というのも時としてエゲつなくて、「5~10秒に1回は後ろを振り返ってダイバーが無事かどうかを確認するべきだったか」というようなレベルになっていて、もはやガイドと言うより安全管理人状態ですね・・・
これ聞いて思い出した光景が1つありました。
粟国島にダイビングした際、船に沖縄本島のダイビングショップから来た団体がご一緒していたのですが、そのうちの1人がちょっとたどたどしいスキルの状態だったのか、潜っている間ガイドがほぼ抱きかかえているような状態で密着して付き添っておりました。後から「いやさすがにあれはやりすぎな感じだったよね・・」みたいな話をしていたのですが、そこまでして見てもらわないといけないものだったっけ?とも感じます。
とりあえず、ダイビングでガイドするのはリスクが高い。
前述のような裁判の例もあり、ダイビングにおいてガイドさんは安全管理人のような状態を求められています。
一方で、一見さんのダイビングスキルがどうなのかは、かなりまちまちな様です。ダイビングライセンス(Cカード)は持っているものの、久々のダイビングのために器材のセッティングすらままならない、と言うような方もやはりザラにいらっしゃるようで・・・
講習ではこうしたリスキーな状態からいかに自分を守っていくか、と言った話がインストラクター・ガイドの目線から話されていたのですが、客にあたる私たちダイバーにも出来ることはあるはずだ、と思いました。そもそも誰も死にたくなければ、誰も裁判沙汰なんていやですしね。
こっちの記事でも書きましたが、健康管理、器材のチェックなど、こちらから減らせるリスクはしっかりと減らしていくべきです。
Project Save Diveについて
前述しましたとおり、「安全なダイビング」をテーマにこれまで各地で起こっている事故をまとめたり、安全に関する提言などの活動を行っているという非営利活動法人(NPO法人)です。最後に、この団体のご紹介を。ちなみにオーシャナの代表の寺山さんが、ここの理事長を務めていらっしゃいます。
HPはこちら→http://safedive.or.jp/
設立の経緯
設立のきっかけは、2014年に発生したバリ島での漂流事故です。
2月14日(金)の午後、バリのレンボガン島沖でダイビングをしていた日本人女性ダイバー7名が予定の時間になっても上がらず、行方不明になるという事故が起こった。
2月17日(月)、7人のうち5人が救出され、18日(火)現在もあと2人の捜索活動が続いている。行方不明になってから丸4日間以上が経つ今、一刻も早く発見されることを祈るばかりだ。(19:00現在)
※https://www.marinediving.com/topics/1402/0218_01.shtml より抜粋
この2人に関しては結局亡くなられてしまいました・・・うち1人がインストラクターだった覚えがあります。
この際、ヘリを飛ばすなどの捜査活動・救助活動の支援のため寄付金を募ったところ、目標以上に寄付金が集まり、一旦日本財団に寄付した後に、助成を受ける形でこのNPO法人が設立した、とのことでした。
行っている活動
主な活動内容としては
- 安全ダイビングにかかわる情報収集
- 安全に関する提言集の発刊
- 事故防止啓発活動
になります。
実際に起こった事故のケースを洗い出して、より安全にダイビングができるような知識を一箇所に集める、と言った部分がメインな活動内容ですね。
こんな資料を作成されています。
安全ダイビング提言集
※このページからDLできます。
Safe Dive Hand Book(作成中)
先ほどご紹介した弁護士の方もこちらの団体の理事の1人を務めていらっしゃいます。安全ダイビングに向けて本格的に力を入れて活動を行っている団体の1つですね。
まとめ。
ガイドさん・インストラクターさんの危機意識だけでは改善しきれない点はたくさんあり、組織的にこれらの問題にどうやって取り組んでいくべきか、と言った点も議論点として挙げられていました。
そんな中でも、やはり我々素人ダイバーとしてもナメてかかる・インストラクターさんにおんぶにだっこ、という状態から抜け出した状態でダイビングを取組んでいくべきなんだなと、改めて思いました。
不測の事態が万が一起きたら、それは確かに周りに頼らねばならない点にはなってくると思いますが、自分達で避けられるリスクは徹底的に避けていきたいですね。
ではでは。
オーシャナの寺山です。素敵な記事ありがとうございました。
もし、よろしければ、一度お会いできる機会をいただけると幸いです。
今後も、ダイバー目線からの発信、楽しみにしています。
寺山様
コメントいただき、ありがとうございます。
またこちらこそ、貴重な学びの機会を作っていただいたおかげで、普段なら知り得ない情報を勉強することが出来ました。
こちらこそ、是非お会いできますと幸いです。
後程、メール等でご連絡させていただきます。
よろしくお願い致します!