こんにちは!ダイバーラウンジです。
先日「ダイビングには興味あるけどやらない理由」の1つである「泳げないから出来ない」ことに関して説得してみる記事を書きました。
今回は、更に多く言われる
「サメが怖い」
ことについて書いてみようと思います。
こればっかりは論理的な説得は、ほぼ無理ではあるのですが・・・諦めたらもったいないしね!!書いてみようと思います。
先に言いますが、
ダイビングにおけるサメのリスクは超低いです。
そしてもっと言えば
ダイバーにとってサメは観に行くものです。
サメのイメージ
皆さん、一言で「サメ」と聞くと何をイメージしますか?
・
・
・
・・・そうですよね、ジョーズですよね。ちくしょう。
ダイビングやってるって言うと、やってない周りの知り合いから時々
「え、海潜り行くの!?サメとか怖くない!!?」
と言われたりしますが、そう言う方って十中八九この「ジョーズ」のイメージがこびりついてると思うんですよね。
ほんっとうに、あの有名なホラー映画がもたらした影響は計り知れません。
ここまで「ダイビングをしたらサメ(=ジョーズ)に食われるかもしれない」とイメージがついてしまうのは、恐らく映画関係者でも思わなかったでしょうね。
あなた達、罪深いですよ。ダイビング業界に謝ってください。
そもそもサメとは?
上から目線も甚だしい冗談はさておき、まずはサメそのものについて書いてみます。
皆さん、まずお聞きしたいのですが、
サメって全部↓このジョーズのフォルムだと思ってはいませんか?
一口にサメと言っても、結構色んな種類がいます。つまり色〜〜んなフォルムがあるんです、サメは。
これは生物学の分類学で表分けした時のサメの分類になります。
生物学において生物を分類していく上では
界→門→綱→目→科→〜
という感じで分類階級が徐々に細分化されていくのですが、サメはこの真ん中階級でいう「軟骨魚網」に分類される生き物です。
軟骨魚網って何か?というと、全身が軟骨で出来てる魚類のことで、大きく言えばサメとエイがここに含まれます。
その中でエラが体の側面にあるものをサメ亜区、体の下の方にあるのをエイ亜区と分けます。
似たようなカラーの写真で申し訳ないですが、1枚目がサメで、2枚目がエイ。1枚目の写真、側面のエラがくっきり写ってますね。2枚目のエイはひっくり返したらエラが見えます。
そして、サメ亜区の下に更に
- ネコザメ目
- テンジクザメ目
- ネズミザメ目
- メジロザメ目
- カグラザメ目
- キクザメ目
- ツノザメ目
- カスザメ目
- ノコギリザメ目
この9種類の目があり、その下に34種類の科、さらに下に106種類の属・・・・最終的に約500種類のサメが存在しています。
危険なサメは何種類いるの?
前述した通り「サメ」と区分される生物は全部で約500種類います。
そして、その500種類が全部ジョーズのフォルムというわけではありません。
例えばジョーズですが、モデルになっているのはホホシロザメという種類のサメです。
この写真の通りで、見た目がまんまジョーズのモデルになっていますね。
分類で言うとネズミザメ目に属するサメで、確かに人間を襲った事例がいくつか報告されているサメです。
人間を襲うと言われているのはこれ以外にも
- イタチザメ(タイガーシャーク)
- オオメジロザメ(ブルシャーク)
・・・・などなど、全部で約20〜30種類と言われています。
500種類いる中で、人間を襲う可能性があるサメって1/10も無いんです。
他のサメに関しては無害か、人間を見つけると一目散に逃げちゃうパターンが大体です。
「いやでも人襲いにはくるんでしょ?」というあなた。確かに人を襲った事例があるのは事実なのですが、1つ絶対に理解していただきたいのが
サメは別に人を”狙って”襲ってはこない
ということです。
ジョーズの映画のおかげで「人食いサメ」のイメージが定着しちゃってますが、サメがエサとするのはあくまでイルカやアザラシなどの海に住む哺乳類だったり、魚や海鳥などであって、好んで人をエサとする習性はありません。人を食べる目的で襲う可能性のあるワニやクマとは異なります。
なのでサメが人を襲う可能性があるとしたら他のエサと間違えたか防衛反応と言われています。
前者はサーファーが襲われやすい最大の理由の1つで、水面でボードに乗ってパドリングしてる姿をアザラシやウミガメと勘違いして襲ってしまう、と言われるパターンです。
後者は・・・これは生き物としては当然の行為ですよね。下手にちょっかいを出されたら攻撃し返すのは当然です。
日本でサメに襲われた事例はどのくらいあるの?
では、実際に日本でサメに襲われた事例が数的にどのくらいあるのか?という点についてです。
こちらはフロリダ自然博物館が公開している「International Shark Attack File」つまり世界的にサメに襲撃された件数がどの程度あるのかをデータでまとめているサイトです。
この中で、挑発行為なしでサメに襲われた件数を、1580年から今までどの程度確認されているかを国別でデータを出しているページがあるのですが、
アメリカ合衆国が1,516件、
オーストラリアが670件、
日本は・・・・15件です。
もう一度言いますと、1580年から今までの日本で確認されているサメの襲撃事故はわずか15件です。
とはいえさすがに日本も1580年(本能寺の変の2年前)からサメの事故を集計していたわけでは無いでしょうしアレなのですが、ここ30年で報告されている具体的なケースについても記載しますね。
年 | 事故内容 |
1992年 | 愛媛県松山沖にて、タイラギ漁をしていたダイバーの男性がサメに襲われ、行方不明になる。残された潜水服の傷跡から、ホホシロザメと断定。 |
1994年 | 奄美大島にて、遊泳中の主婦がサメに襲われ負傷。 |
1995年 | 愛知県伊良湖沖にて、ミル貝漁をしていた男性がサメに襲われ死亡。体長の大きさからホホジロザメと推察されている。 |
1996年 | 沖縄県宮古島沖にて、サンゴ調査を行っていた男性がサメに襲われ死亡。調査の過程でオオメジロザメと推察されている。 |
1997年 | 沖縄県宮古島沖にて、タコ漁をしていた男性がサメに襲われ死亡。 |
2000年 | 沖縄県宮古島砂山ビーチにて、サーフィンをしていた男性がサメに襲われ死亡。傷跡からイタチザメと推察されている。 |
2012年 | 奄美大島沖にて、6名の漁師を乗せた漁船が転覆し、漂流していたところをサメに襲われるが、応戦して撃退。 |
※参照:
【人食いザメ】日本で実際に起きてしまったサメによる獣害事件
サメによる被害例について
最後のケースだけやたらワイルドですが、事故は2012年以降には報告されておらず、発生しても年に1回あるか無いか、という少なさです。90年代にサメの事故が続いている時期があったのは確かですが、これを機に遊泳禁止の海域を増やすなどの対策が行われたおかげで、2000年代以降になるとこうした事故の報告がますます減っています。
そして肝心な点ですが、レジャーのダイビングで人が襲われたというケースは、日本では1件も報告されておりません。
上記で見る通り、日本で報告されているケースは大半が漁でより遠くの沖合に出ている際のケースです。レジャーで報告されているのはサーフィンや遊泳中など、水面でのアクティビティが多いです。
ちなみに世界レベルで見たらどうなのよ?という話ですが、このグラフを見ていただきたくて
こちらはサメに襲われた際に被害者がどんなアクティビティをしていたのかを示すグラフなのですが、2020年に関してはこんな感じになってます。
アクティビティ | 件数 |
サーフィン、水上スキー、ウィンドサーフィンなど | 37件 |
遊泳、シュノーケリングなど | 15件 |
ダイビング(フーカー潜水など含む) | 2件 |
54件ほどのシャークアタックの件数がある中で、ダイビングはその3%にあたるたった2件。
2020年、世界で発生したダイビング中のシャークアタックの数が、2件です。
他のアクティビティと比べると滅茶苦茶低い率なんです。この率はその前の「2010年〜2019年」の項目でも変わりません。
最後にまた同じことを繰り返して言いますが、
日本ではレジャーダイビングにおいてサメに襲われた事故は1件も報告されていません。
そして昨年世界で発生したダイビングによるサメの事故もたった2件です。
こうした数字を見ても、ダイビングにおけるサメのリスクは超低いと言えます。
ダイバーにとって、サメは観に行くもの
さてここまで、ダイビングにおけるサメのリスクの低さについて書かせていただきました。
その上で、もう1つ重要な点を書こうと思います。
それはダイバーにとって、サメは観に行くものということです。
海に潜って、色んな生き物、地形、沈船を観に行くことを楽しむのがダイバーという生き物です。
その色んな生き物の中には、サメも含まれてくるんです。
優雅で、フォルムが綺麗で、泳ぐ様が迫力あり、先述した通りリスクも比較的低いサメ。
こうしたサメ達は、格好な観賞対象なのです。
僕もこれまで幾度か、色んなサメに出会ったことがあります。
日本でどんなサメに出会うことが出来るのか、僕や他の方々の写真を使って紹介していきますね!
※すべてのサメを紹介しきれておりません。写真のレパートリーが増えたら順次増やしていきます!
ナヌカザメ
メジロザメ目に属するナヌカザメさん。
数あるサメの中でも、結構大人しい部類に属するサメさんで、人間への害はほとんどありません。
僕は伊戸でこのナヌカザメに出会いましたが、人が周りをウロウロしてもじーっとしてるだけでとても大人しい子でした。
大きくなる時は1m級にもなると言われていますが、僕がこのとき出会った子はそこまでのサイズではありませんでした。
そして正面からの表情がなんか可愛いと言う。
終始じっとしてたので色んな方角から写真を撮らせていただきました(^^)
カスザメ
カスザメ目に属するカスザメさん。
ちょっと平べったい形をしておりエイに近い形をしています。
こんな感じで砂地に紛れて獲物を待ち伏せするのが特徴的な動きです。
僕がこのカスザメさんに会ったのはIOP(伊豆海洋公園)でなのですが、砂地に入り込んだこの子、全然動かないので舐め回すように全身を撮影してしまいました。すっごく大人しいです。
ホワイトチップ
正式名称はネムリブカ。メジロザメ目に属するサメです。
背びれや尾びれに細かい白い模様がついてるのがホワイトチップの名前の由来です。
体長は最大で1.5mほどにもなるサメです。
僕は宮古島のサンゴホールというポイントでこのホワイトチップに会ったことがあります。
すみません、当時の僕の技術もあってあまりちゃんと映ってないですね汗
この時お世話になったショップさんのインスタの投稿を貼っておきます。
この投稿をInstagramで見る
最近は水深の深いサンゴホールだけでなく、比較的初心者でも楽しみやすい中之島チャネルというポイントにも住み着いてるようになってるみたいですね。
僕の動画にしてもそうですが、性格で言えば好奇心旺盛な面があり、ダイバーが来ると「何だ何だ?」と寄ってきてくれる傾向があります。ただ、寄ってきては結局「な〜んだ人か」って帰ってくので、人を襲うことは滅多にありません。
ヒレの模様ももちろんですが、ちょっと猫っぽい目と、鼻から出てるひげのような弁が可愛らしいサメです。
ドチザメ
メジロザメ目に属するドチザメ。1m〜1.5mのほどよい体長のサメです。
このサメを半端ない規模で見れるのが千葉県、伊戸のポイントです。
先述で載せたサメの画像も、僕が伊戸に行った時に見てきたドチザメの画像です。このドチザメが
こんなにたくさんいるのが伊戸の特徴です。
あーあーあー。
ついでに言うと、動画もあります。笑
はっちゃめちゃです。ガンガン大量にやって来るのでエラく揉まれますし、動画を見ると分かると思いますが、エサに夢中過ぎてゴスゴスぶつかってきます(笑)
ちょっとこの写真や動画だとイメージしにくいかもしれませんが、ドチザメも性格的に言えばサメの中でもかなり温厚な部類になります。こうしてゴスゴスぶつかってきていますが、襲ってくることはありません。飼育も可能なレベルでおとなしい性格なサメなんです。
とは言え、この伊戸のポイントでは時たま噛まれてグローブ千切られるというケースもあるようで、それはショップのブリーフィングでも注意されるポイントです。なので、どの生き物にも共通で言えますが、変にちょっかいを出したり邪魔をしないことが大切です。
ハンマーヘッドシャーク
正式名称をシュモクザメという、メジロザメ目に属するサメです。
頭がハンマーみたいな形になっており、その両橋に目と鼻があるのが特徴。ハンマーヘッドシャークの名前の由来そのままです。
体長は3〜4mあるなかなか大きなサメです。
僕がこのハンマーヘッドシャークを観たのは南伊豆の神子元というポイント。
流れのあるこのポイントでラッキーなことにハンマーリバー、つまりハンマーの大群に出会える有名なポイントです。
めちゃくちゃ迫力あった!!感動しちゃって、今でもzoomの背景はこの動画にしています。
特徴的な頭したサメが、群れをなして流れていく様は非常に優雅でした。
こうしたハンマーリバーは神子元の他にも、沖縄の与那国、東京の離島である伊豆大島などで観ることが出来ます。
シロワニ
ここから先は僕が観たことのないサメになるので、他のメディアを借りながらのご紹介になります。
ネズミザメ目に属するシロワニ。
こちらも最大で体長3m以上にもなるなかなか大きなサメです。
この画像で見るとなかなか怖い見た目をしてますが、こちらも性格的には大人しい部類に入るサメです。
日本では東京の離島、小笠原諸島で観ることが出来るサメになります。
やっぱりカッケーーー!!!
寝ぼけてるのかギリギリまで近寄ってきて方向転換…!小笠原の海は面白いねー✨
小笠原で絶対シロワニとダイビングしたい人に!https://t.co/kuwFAYu006 pic.twitter.com/bitD1BDGD8
— 茂野 優太 🐳海のカメラマン (@yuta3822) February 14, 2021
これは先日アップされていた@yuta3822さんの小笠原での動画です。
超至近距離!迫力ありますね(^^)
ジンベエザメ
最後に紹介するのはジンベエザメ!早く観に行きたい!!
テンジクザメ目に属するサメで、体調は最大でも20mにもなる特大なサメになります。
そして主なエサは甲殻類などのプランクトンになってて、あまり尖ってない小さな歯しか持っておらず、当然ですが人間を襲うこともありません。
ジンベエというと漫画『ONE PIECE』に登場する仁義に厚い任侠キャラを思い浮かぶかもしれませんが、実際は愛らしい表情が特徴的で、よくキャラクターデザインもされるサメになります。
ジンベエザメを観ることが出来る代表的な場所は
- 千葉県:波左間
- 沖縄:読谷村
この2カ所です。稀に西伊豆や、串本で遭遇するケースもあります。
すごい映像が撮れてしまった pic.twitter.com/bZNdUWYhzi
— Shotaro Inoue (@sho987i) January 14, 2020
これは昨年バズってた@sho987iさんの読谷での動画です。
こんな至近距離でジンベエの食事シーンを観ることが出来るのは、スゴイ・・・!
安全にサメを楽しむには勿論注意も必要
ここまで書きました通り、ダイビングでは色んなサメを観ることが出来ますし、やはり観ていてもかなり楽しい生き物の1つになります。
襲われるリスクも低いので、そこまで神経質になって注意する必要はないです。事実、僕もこれまで一度も噛まれたり襲われたりしたことはありません。
とは言え、肉食ならではの歯を持っているのは事実ですし、やはり変に襲われないよう最低限の注意をする必要はあると思います。
最低限の注意とは、変なちょっかいを出したりしないこと。
これはどの生き物にも言えることです。
「襲われるかも!?」と思ったら、防御反応を示すことは当然の動き。
こちらが攻撃的な動きや、向こうの動きを邪魔したりちょっかいを出したりしたら、当然何をし返されるか分かりません。なので絶対しないこと。これはサメに限らず、どの生き物に対しても必ず守らなければならない注意事項です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
サメが原因でダイビングから腰が引けてる方向けの説得材料に使えそうでしょうか?
前半は実際のサメのリスクの説明、後半はある意味ショック療法な写真・動画の応酬でしたが、
「サメを見て楽しむ」という要素はダイビングには必ずあるので、そうした世界に皆さんが足を1歩踏み出してくれると良いですよね(^^)
ではでは、読んでいただきありがとうございました!!
コメントを残す